橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「まきたや」

classingkenji2008-10-22

今日は、書きかけ原稿のラフスケッチをもって、下高井戸へ。アイデアが煮詰まったときは、居酒屋へ行くに限る。ちょうど、新しい店ができたという情報をキャッチしたところだった。まずは、いつもの「なんで・や」へ行き、ホッピーでのどを潤し、モツ焼き欲求を満たしたあと、その店へ。店の壁面は、ガラス張りの黒い木の格子になっていて、外から店内の様子がわかる。右側にカウンター、左側にはテーブル席。意外に広い。
店名は「まきたや」という。魚料理がメインの店で、刺身が充実している。いろんなサイズの刺し盛があり、二点盛五八〇円、三点盛八三〇円、四点盛一二〇〇円、五点盛一五〇〇円。今日は一人なので、三点盛りを注文。長皿に皮付きの戻り鰹、生蛸、平目と盛られてきた刺身は、いずれも歯ごたえがあって美味しい。次に頼んだほうれん草と油揚げの煮びたしは、予想に反して椎茸とにんじんも入り、ゆず皮が天盛りにされた彩りのいい逸品で、出汁の味がなかなかいい。日本酒が二〇種類ほどあり、宗玄、遊穂奥播磨、凱人、秋鹿など、品揃えにこだわりをみせる。それぞれ六〇〇円前後だが、小グラスだと半額で、これなら何種類も試すことができる。今日は、宗玄、奥播磨、凱人といただいた。その他、焼酎が一〇種類ほどあって、四三〇−六三〇円。ビールは、中生が四八〇円、中瓶が五五〇円。新しい店にしては、若い人のグループや、中年サラリーマン、中年の夫婦連れなど、よく客が入っている。カウンターには、中年男性の一人客もちらほら。一人で入りやすく、ちゃんとした和食を出す店というのはうれしい。
なんと、下高井戸の誇る名店「たつみ」本店の隣。下高井戸駅から、日大通りを桜上水方向へ三分ほど歩いた右側にある。(2008.10.17)

世田谷区赤堤5-31-2
17:30-24:30