橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

江古田のあるチェーン店

classingkenji2008-10-21

今日は大学で雑用を済ませ、近所で飲むことにする。一軒目の条件は、「焼鳥とホッピーのある店」。候補はいくつかあるが、ふと思い立って、学生たちと一度入ったことのあるチェーン店へ行く。ホッピーは、氷が入った冷えたジョッキ、小さなグラス入りの焼酎がセットででてくる。焼酎の量は、一度に使って中お代わりを頼んでも、あるいは二杯に分けて使っても、どちらにも対応できるという量。これで、三八〇円、中お代わり二〇〇円だから、チェーン店らしいリーズナブルさだ。
焼きとんがでてくる。あまり美味しくはない。タン、ホルモンとも、焼きすぎでジューシーさがない。これで一五〇円と一八〇円は高い。この店、焼き鳥は一〇〇−一三〇円なのに、焼きとんはこれより三〇円ほど高いというのは不思議。ふと前方をみると、カウンターの内側の壁にマニュアルが貼ってある。こんなことが書かれていた(一部省略してある)。焼き鳥は冷凍物ということがわかる。ホームページによると国産とのことなので、冷凍のまま海外からきたわけではないらしい。ねぎまうずら、つくね、野菜は、店で店員が刺しているということか。14:00出勤前に、食材はすでに届けられているのだろう。そのかなりの部分は解凍して焼くだけになっていて、だからこそ開店の三時間前に出勤ということが可能になっているわけだ。あんな目立つところに貼ってあるのは珍しい。アルバイトだけでやっているような店なら、他のチェーン店にもこんなマニュアルがあるはず。比べてみたいものだ。(2008.10.16)

14:00 出勤
14:05 売上金の入金及び両替金の準備 温度チェック 食材、野菜納入品のチェック及び冷凍(冷蔵)保存 納品金額の入力
14:20 焼き鳥の解凍及びねぎまうずら卵、つくね準備
14:30 焼き台周りの清掃 火おこし、フライヤーのガス点火
15:00 ドリンク場の準備及びドリンク納入物の運搬
15:10 野菜の仕込み
15:50 焼き台の準備
16:00 野菜および野菜串の仕込み
16:30 休憩
16:50 開店準備