橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

鹿児島・天文館「豊年満作」

classingkenji2008-12-27

天文館付近の飲食店街を歩いていると、「ホッピー」の提灯が目に入ってきた。鹿児島にも、ホッピーは進出していたのである。店の名前は「豊年満作」。提灯を櫓に並べた、祭をイメージしたような外装。中に入ってみると、酒のケースとベニヤ板を組み合わせたテーブルなど、「トロ箱」にも似たインテリア。しかし、ステンレスパイプを組み合わせたパーティションなど、ちょっと違うところもある。いずれにせよ、魚市場の急造店舗をイメージした造りといっていい。壁に貼られた広報誌から、「なんで・や」でも知られるティーケーエスグループの新業態ということが判明。
メニューは、地元の黒豚料理、キビナゴ料理、地鶏料理の他、刺身、干物、野菜料理など幅が広い。キビナゴ三八〇円は、十分美味しいもの。赤鶏のたたき(六五〇円)は、ササミ、モモ、ムネ肉の三種盛で、かめばじわっと旨みが広がる佳品。ビールはアサヒで、大瓶五五〇円、中ジョッキ四五〇円、ホッピーセットは四五〇円、 サワー類三三〇円。鹿児島の店だけに焼酎は何種類か揃えていて、一杯三八〇円、ボトルが二〇〇〇−二二〇〇円と安い。開店して間もないらしく、まだ店のオペレーションがこなれていないが、料理の質はまあまあで、コストパフォーマンスは高い。
ティーケーエスグループは、全体の店舗数は多くないのに、沖縄、金沢、そして上海にも進出しているとのこと。多彩な業態で、料理・酒の水準は概して高いという、注目のチェーンである。(2008.12.16)

鹿児島県鹿児島市千日町3-37 千日街ビル1F
平日6:00〜3:00 日祝6:00〜0:00 無休