橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

大山「魚猫」

classingkenji2013-12-01

大山には、大好きなもつ焼き&イタリアンの名店「やきとん ひなた」の二号店があるが、その近くに「ひなた」の魚の店ができたというので、行ってみた。池袋の自宅からは、歩いて二五分ほど。土日は四時開店というので、人気店だろうから早めにと四時四〇分くらいに行ったのだが、もうほぼ満員。辛うじてカウンターに座ることができた。
刺身の盛り合わせは、二点盛り、三点盛り、五点盛りと三種。三点盛りを注文すると、小さな舟形にカンパチ、カツオ、鮪、白身、鯵と五点が盛られてきた。最近よくあるパターンだ。うれしい反面、最初から五点と書いてくれた方が選びやすいと思うのだが。単品メニューも、とらふぐ刺七八〇円、サンマ刺三八〇円、あん肝三八〇円など、安くて充実している。鱧の天ぷら四八〇円は、普通なら九八〇円はとられそうな量があり、きれいに揚がっている。イタリアン系のメニューがあるところは、「ひなた」と共通だ。日本酒も、良いものを揃えている。「苗加屋」無濾過生原酒六〇〇円、「南」純吟無濾過五八〇円、「仙禽」初槽直汲み中取り五八〇円などという具合。
これは最強の魚居酒屋といっていい。遠くの人は、あまり行かないように。地元民の席を奪ってはいけません。(2013.11.9)

板橋区大山町30-19
17:00〜24:00 土日祝16:00〜 水休