橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

お化け煙突のモニュメント

classingkenji2011-08-12

居酒屋そのものとは関係ないが、古い居酒屋が好きな人なら、たぶん興味のある話題だと思う。
北千住の駅から歩くとかなり時間がかかるが、旧日光街道で「大はし」の前を通り過ぎ、商店街が終わるあたりで左に曲がって日光街道を渡り、そのまま西へ進んでいくと、東京電力の寮と資材置き場に出る。ここにはかつて、千住火力発電所があった。「お化け煙突」の名で親しまれた、巨大な四本の煙突があった場所である。その煙突の一部が輪切りにされ、しばらく前までl隣接する足立区立元宿小学校の校庭の遊具として使われていたが、廃校となり、跡地には帝京科学大学千住キャンパスができた。
あの遊具はどうなったのかと心配したが、ちゃんとモニュメントとして保存されており、その隣には四本の煙突の縮尺二〇分の一の模型まで作られていた。変にデザインせず、形まで忠実にしてほしかった気もするが、四本の煙突の相互の位置関係がはっきり分かり、四本が三本になり、二本になり、一本になるという様子が実感できる。
近くにはこれといった居酒屋がないので、駅周辺まで戻ってから飲んだ方がいい。(2011.7.22)