橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「徳多和良」

classingkenji2007-08-19

今日は出版社の編集者と、打ち合わせと称する飲み会で北千住へ。まずはイトーヨーカドーの地下のコーヒーショップで二〇分ほど真面目に打ち合わせをしてから、近くの「徳多和良」へ。この店は「割烹くずし」を看板に掲げ、本格的な日本料理を出す立ち飲み屋として有名。私は今回初めての訪問。まずは生ビールをいただき、メニューを眺める。料理は三一五円が基本で、鰆、金時鯛、平政などの刺身、舌平目煮付け、甘鯛酒蒸し、いさき天ぷら、じゅんさいなど。鯨刺し、鱧茶碗蒸しは四二〇円、鮎煮浸し、かぶと焼きは五二五円。量は少ないが、ちゃんと手をかけた料理で、味は本物。安くて量が少ないだけに、次から次へと注文が舞い込むが、出来合いのものではなく、ちゃんとその場で揚げたり蒸したりして出てくるのがすごい。ビール、酎ハイなども三一五円。本格焼酎や日本酒も出す。
客は、地元の中高年男性が中心だが、噂を聞いたか雑誌で見たかしたと思われる若い女性の二人組も。この店なら、遠征していく価値がある。何しろ北千住、立ち飲みに疲れたら気楽に入れる居酒屋がいくらでもあるのだから。この店目当てで、北千住へ行く回数が増えそうだ。(2007.8.14)