橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「まるかや本店」

classingkenji2008-10-06

さて、もう一軒、と路地を歩き回る。看板に誘われて細い路地に入ると、蠱惑的な赤ちょうちんと縄暖簾、そしてホッピーの暖簾が。そして、店先に置かれているのは、なんと生ホッピーの樽である。生ビールの樽はよく見かけるが、生ホッピーのものをみたのは初めて。ビールのものより細長く、容量は一九リットルとある。生ホッピーが三九〇円なら、リーズナブルだろう。
店内は、思ったより明るい。右側にカウンター、左側にテーブルがいくつか。モツ焼は、二本二六〇円から。焼鳥や野菜焼など、串のメニューは豊富だ。その他、モツ煮込み三九〇円、ガツ刺し三九〇円、ポテトサラダ三〇〇円など。レモンハイボールは二九〇円、ウーロンハイ、緑茶ハイなどは三〇〇円と、下町価格。生ホッピーは、十分美味しい生ホッピーの味。レモンハイは、普通の味だった。店を切り盛りしているのは、若者たちで、今年の四月に開店したとのこと。最近、若者たちが始めた居酒屋を見かけることが多い。アルバイトとして修行を積み、独立したということか。それとも、雇われているのか。どんな経歴なのか。気になるところである。だれか、若手研究者で居酒屋店長・店員の職業経歴調査でもやろうという人はいませんか。聞き取り調査をするためには、飲み食いしないわけにも行かないだろう。その費用は、私がもちますよ。(2008.9.25)

足立区千住2-62
18:00〜23:30 無休