橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

美味しく食べて、飲んで、みんなで日本を元気にしましょう!

知人の酒ジャーナリスト、山同敦子さんからこんなメッセージをいただきました。まったくその通りだと思います。震災の後、なじみの店から足が遠のきがちです。いい居酒屋がなくなってしまったら、東北地方が復興しても、酒や食材を仕入れることができません。行きつけの店、とくに東北の酒や料理を出す店に、できるだけ足を運ぶようにしましょう。

このたびの東日本一帯の大震災により被害を受けられた方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
一日も早い復興と、皆様が心身ともに健康な生活を取り戻せることをお祈りしております。

運良く被災が軽微だった私に、なにができるか、自問自答する日々。
必要な物資をお送りすること、募金活動、お手紙等々…出来ることはわずかですが、奮闘中です。
被災地の方々のことを思うと涙がこぼれてしまって、呆然とする毎日でした。笑ったり、楽しんだりするなんて、もってのほかだ。自粛しなければならないと…。

が、今はできるだけ普段通りの生活をしようとすることが大事なのではないかと思うようになりました。
おいしく食べたり、お酒を飲んだり、居酒屋やレストランで外食も楽しむ。それが、被災地で頑張っている生産者の皆さんを支援することに繋がると思い直したのです。

美味しいものに目がない皆さん、東北(とくに岩手、宮城、福島)のお酒を飲みましょう!
海岸沿いの悲惨な状況だけがテレビで放送されていますが、内陸部でも大きな被害があったと、蔵元さんたちから報告を受けました。蔵の建物が全壊したり、瓶詰めしたお酒が破損したり、停電や断水でもろみの醗酵が進みすぎたりまた、福島県原発事故の風評被害も大きいとのことです。
でも、「命があるだけで奇跡だ」と、皆さん、歯を食いしばって美味しいお酒を造ろうとしていらっしゃいます。
たとえば宮城県石巻市「日高見」蔵元の平井さんは、醗酵が進んだもろみをまとめて搾って、「ガンバロウ日本」などという別ラベルのお酒を造り、売り上げの一部を寄付すると、話して下さいました。市長が「死者はおそらく1万人を超える」と発表し、いまだにご遺体が町のあちこちにあるという、あの石巻で、笑ってお話になってくださったのです。
そんな被災地の方々を支援するためにも、お酒を飲みましょう。
日本の伝統産業、日本酒造りの灯火を絶やさないよう、みんなでお酒を飲んで応援しましょう!

首都圏もまた被災地です。建物の被害は一部をのぞき軽微ではありましたが、計画停電、電車の間引き運転、物流のストップ、原発事故などの影響で、人々はどうしても外出を控えてしまいます。その影響をまともに受けてしまったのが外食産業。居酒屋やレストランは閑古鳥です。このまま行くと、閉店を余儀なくされる店もたくさん出てしまうことでしょう。美味しいあの店、この店が危機的な状況です。

さあ!美味しく食べて、飲んで、みんなで日本を元気にしましょう!