橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

門前仲町「大坂屋」

classingkenji2008-03-24

今日は、「古典酒場」の座談会で、まず早稲田の「加賀屋」へ。今日のテーマは「下町酒場・山の手酒場」で、東京の東西・台地の上と下での居酒屋の違いなどにふれながら、結局は雑談。なんとか倉嶋編集長がまとめてくれるだろう(笑)。二次会は、ちょうど東西線沿線だからということで、門前仲町へ。モツ煮込みの名店・大坂屋は狭くて九人分くらいしか席がないので、なかなか入れない店だが、今日は運よく入ることができた。この店の煮込みは、牛のモツを串に刺し、色の濃い味噌だれで煮込んだもの。こってりした味わいで、素晴らしく美味しい。
この煮込みのスタイルは、明治以来の古典的スタイルである。松原岩五郎の『最暗黒の東京』(一八九三年)にも、次のように記述されている。

煮込──これは労働者の滋養食にして種は屠牛場の臓腑、肝、膀胱、あるいは舌筋等を買い出してこれを細かに切り、片臠となして田楽のごとく貫串し、醤油に味噌を混じたる汁にて煮込みし者なり。一串二厘……。

大正十三年創業だというから、明治期からの直系というわけではないが、それでも文化財的な価値がある。

大坂屋
江東区門前仲町2-9-12
16:00〜21:00 日祝休