「ささもと」
次に向かったのは、この店。串に刺して煮込むという、明治期に生まれたモツ煮込みの原型を出す、数少ない店のひとつである。銀座に支店があって、こちらは場所柄、高級牛の串焼きや刺身なども出す高級店。これに対して思い出横丁の本店は、思い出横丁としては普通の値段の店である。いつも混んでいて、しかも常連の男たちの何ともいえない雰囲気から、最初はなかなか入りにくい。しかし入ってしまえば、どうということはない。
奥の方のテーブルや窓は、相当年季が入っている。おそらく、開店当時から変わっていないのではないか。木の角は、こすれて丸みを帯び、飴色に艶を帯びている。メニューの中心はもちろん串に刺した煮込みで、ただ「煮込み」といえば、五本を盛り合わせてくれる。味は、見かけよりあっさりしていて、三皿くらいは食べられそうだ。(2011.4.13)
新宿区西新宿1-2-7 無休