橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「樽一」の鯨珍味盛り合わせ

classingkenji2011-05-16

「樽一」といえば、私にとっては池袋店だった。名酒「浦霞」と東北の魚介類が売り物の店で、とくに穴子の炭火焼きは素晴らしかった。ロサ会館を通り過ぎた奥の、小さなビルの二階で、周囲のざわざわした雰囲気とは一線を画す別世界だったが、惜しくも一〇年ほど前に閉店した。この店の発祥は高田馬場だったはずで、ここにも店があったが、最近になって閉店した。残るは、この店である。
この店は、昔から鯨が売り物だった。写真は、心臓、胃、皮の三点盛り。浦霞も、もちろん被災した。店の人によると、ラベルが汚れて普通なら出荷できないものを、送ってもらっているとのこと。東北支援の気分もあるのか、いつになく混んでいて、私の次に入ってきたカップルは入れずに残念そうだった。(2011.4.13)

新宿区歌舞伎町1-17-12 5F
17:00〜23:00 日祝休