橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2014-11-29から1日間の記事一覧

飯野亮一『居酒屋の誕生──江戸の呑みだおれ文化』

これは、居酒屋に関する初の本格的な歴史書といっていい。断片的な情報を集めたものではない。江戸期の文献を幅広く渉猟し、江戸期における居酒屋の全体像を描いている。これはひとつの偉業である。 居酒屋の起源についてしばしば言われるのは、江戸は労働者…