橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「トルコアズ」

classingkenji2014-11-26

池袋にはかつて、老舗のトルコ料理店「カッパドキア」があって、私が初めてトルコ料理に目ざめたのはこの店だった。しかし、場所が悪かったのかすでに閉店。この日向かったのは、この店である。実は以前、ランチを食べに行ったことがあって、乾いてパサパサのドネルケバブに落胆したのだったが、ディナーは十分合格点だった。
もともとトルコ料理店は、技巧よりは素材の組み合わせで勝負しているところがあり、あまり当たり外れがない。この店も、都内の各店とほぼ同じ味だが、冷たい前菜のくっきりした味が、なかなか良い。前菜6種盛り合わせ(カルシュク・メゼ)が一七〇〇円、ピーマンのピラフ詰め七〇〇円、ドネルケバブ一五〇〇円など、料理の値段は普通だが、前菜は量が多いので頼みすぎないように。ワインはフルボトルが二七〇〇円からと格安。定番ワインのヤクーツ(赤)と、チャンカヤ(白)がともに三〇〇〇円、セレクション(赤・白)が四〇〇〇円だから、料理と合算した場合、酒飲みにとってはコストパフォーマンスが良い。トルコ料理はときどき食べたくなるので、自宅の近くにあるのはありがたい。(2014.11.2)

豊島区西池袋3-27-15
17:00〜23:00(ランチあり) 無休