橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「第二宝来家」で番組収録

classingkenji2015-05-18

ピーター・バラカンさんがナビゲーターを務める外国人向け教養番組「Japanology plus」で、居酒屋を取り上げることになり、この日は番組の収録。スタッフおよびバラカンさんと、新宿・思い出横丁で待ち合わせ、思い出横丁をしばし散策したあと、「第二宝来家」へ。ここで日本の居酒屋の特徴や、ヤミ市を起源とした居酒屋街の特徴などについて、いろいろ説明する。
そのあとはチェーン店の個室に場所を変えて、現代日本人の居酒屋の使い方や、若者に貧困が広がって、一昔前のようにレストランやカフェバーへ行くのではなく、大衆酒場を好むようになっている現状の両義性についてお話をする。「若者たちが、伝統的な大衆酒場に来るようになったのは、喜ばしいことです。しかし考えてみると、若者たちのあいだに格差が広がり、貧困な若者が増えた結果でもあるわけですから、喜んでばかりもいられません」と。そこでバラカンさんと、何とかノミクスとかいってるけど、景気はよくならないし、格差は広がるし、みんな貧乏になる、いまの政府には困ったもんだ、とひとしきり盛り上がる。もちろん、この部分は放送されないでしょう(笑)。
写真は、「第二宝来家」の現社長の金子栄二郎さんと、母親の美栄さんと一緒に。放送は、BSでは6月2日の予定。

新宿区西新宿1-2-5
平日 15:30〜24:00
土・祝日14:30〜 日13:00〜 不定