橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

三軒茶屋「ワイン食堂 TEPPEN」

classingkenji2010-10-04

表参道のカフェで、軽く前菜とビール、ワインをいただいたあとは、三軒茶屋へ。世田谷通りと国道にはさまれた元ヤミ市の三角地帯を脱けてすぐの場所には、ちょっとおしゃれな店が何軒かある。今日はその一軒に入ってみることにした。
店内は狭く、カウンターと小さなテーブルがいくつかあるだけ。若者や中年女性のグループでほぼ満員だ。料理は南欧風のものが多く、ラタトゥイユ、田舎風パテ、キッシュなど。メヒカリのエスカベッシュ(五〇〇円)というのを注文してみると、頭を落として揚げたメヒカリ一〇匹ばかりをマリネにし、頭と尻尾が互い違いになるようにきれいに並べたものが出てきた。なかなか美味しいが、メヒカリは頭もついていた方がいいのではないか。魚のアクアパッツァ(一五八〇円)、要するにイタリア風水煮は、魚の旨みをよく引き出している。ワインが二〇種類ほどあり、グラスで飲めるものも数種類ある。ココファーム、シャトー酒折など国産ワインも数種類あるのがうれしい。
狭い店内のカウンターの中で調理しているから、中はけっこう暑い。残暑厳しいこの日、火の近くのカウンター席の客はかなり暑そうだった。いい店だと思う。涼しくなったら、また来てみよう。(2010.9.3)

世田谷区三軒茶屋2-14-19 1-B
18:00〜02:00 日休