橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

『おとなの週末』2010年10月号

食べログ」は、私もときどき使う。何しろ掲載店数が多いので、たいがいの店は載っている。このブログでも、住所や休業日などのデータを確認するのに使うことがある。しかし、どの程度信用できるのか。これは、とある小さな老舗居酒屋で主人から聞いた話。

この間、「食べログ」から電話が来たんですよ。アクセス数が多いというので、資料も送ってくる。それで電話かけてきて、お宅は何とかの部門で二位だけど、コマーシャル出したら一位になるぞ、ランキングの順序変えることもできますよ、ていうんですよ。何だろね、ありゃ。

食べログは読者からの評価によるランキングを標榜しているが、実際には有料の店舗会員というのがあって、読者の投稿とは違う広告掲載ができるようになっている。ということは、広告行為を「読者の評価」によってハク付けしているだけということになりはしないか。
この雑誌、今回の特集は「食べログを覆面調査」。食べログ上位の店を実際に訪ねてみたところ、いろいろ問題があったり、パン屋といいながら実際にはパンも作っているケーキ屋だったり、人気店だと併設の店まで上位になったり。さすがに、先の店主の話にあるような「捏造」を臭わせる話まではないが、けっこう面白い。
他の特集は、「2010激うま大賞」「丼の女王 海鮮丼」など。「昭和の偉人が愛した66店の今」は、今は亡き俳優や芸術家のエピソードなどあって、参考になる。

おとなの週末 2010年 10月号 [雑誌]

おとなの週末 2010年 10月号 [雑誌]