橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

恵比寿「ヱビスビール記念館」

classingkenji2010-10-13

昨日に引き続いて、恵比寿へ。ガーデンプレイスで行われている「恵比寿麦酒祭」を見に行くためである。といっても、メイン会場のビヤガーデンはチケット売り場に長蛇の列だし、そもそもこちらにはあまり関心がない。目当ては、恵比寿麦酒記念館のテイスティングサロンで出しているという「明治のおつまみセット」である。
日本最初のビヤホールは、一八九九年、現在の銀座八丁目に開店した「恵比寿ビヤホール」である。「ビヤホール」という和製英語も、この時に作られた。多くの人を集めたが、最初に出したおつまみは大根の薄切りで、これはあまり評判が良くなかった。そこで佃煮や塩豆を出すようになったという。塩豆は今日に至るまで銀座ライオンの名物だが、佃煮は残っていない。このおつまみセットは、大根、蕗の佃煮、海老の佃煮、塩豆をセットにしたものである。これが食べてみたかった。
大根は、確かにビールのつまみとしてはあまりに頼りない味だ。佃煮は、ビールと相性がいい。もちろん相性という点では日本酒の方が上だろうけれど、ビールと合わせるのもなかなかよろしいようだ。期間限定というシルクヱビスの樽生も美味かった。(2010.9.18)

渋谷区恵比寿4-20-1 恵比寿ガーデンプレイス内
10:00〜18:00(受付終了 17:00)