十条「Beer++ 十条すいけんブルワリー」
前回も書いたが、いまクラフトビールの最先端は、住宅地近くの小さなブルーパブだ。この店は、JR十条駅の改札を出て三分ほどの店。一階が立ち飲みスペース、二階はテーブル席になっている。タップは七つで、カレー粉を使ったもの、赤胡椒を使ったもの、ワインの絞りかすを使ったものなど、ユニークなビールが多い。グラスはLとSがあり、Lは九〇〇円から一二〇〇円、Sは五〇〇円から七〇〇円といったところ。シトラホップを大量に使った「しとら」と、ワインの絞りかすを使ったポーターをいただいたが、いずれも上出来。
常連さんが多いようで、スタッフがドイツで買ってきたというビールを分けてもらったり(私もいただいた)、料理を分け合ったりと、和気あいあい。こんな店が増えれば、大手ばかりがはびこる日本のビール文化は変わるはずだ。(2019.8.29)
北区上十条2-7-13 17:00~23:00 15:00~22:00(土・祝) 日月休
大塚「スモーク ビア ファクトリー NAMACHAん Brewing」
いまクラフトビールの最新トレンドは、住宅地の中のブルー・パブだろう。次々に新しい店ができ、いいビールを提供している。都心のブルーパブは、家賃が高いから、二五〇ミリリットルで八〇〇円などという値付けをせざるを得ないが、住宅地なら価格を安く設定できる。ビールは鮮度が重要だから、住民にとっては自宅の近くにあることのメリットは大きい。
この店も、その一つ。山手線の大塚駅から徒歩三分、かつての花街の入り口あたりにある。店長兼醸造長の米澤美里さんが、アルバイトをしていたビアパブ「スモーク・ビアファクトリー」のオーナーに提案して店を開いたのは二〇一七年のこと。変わった店名は、学生時代に生ビールばかりおかわりしていた米澤さんのあだ名が「ナマちゃん」だったからとか。
タップが十六個あり、うち店内で醸造されたものは二種類。燻製料理が売り物の店なので、ここでは自慢のラオホビールをいただきたい。すっきりした味のラオホで、魚介の燻製にはぴったりである。よそから仕入れる他のビールも、国内外からいいものを揃えている。(2019.8.25)
豊島区南大塚1-60-19 17:00~25:00(日17:00~23:00) 月休
目白「天作」
この日は、目白の天ぷら屋さんでコースをいただくことに。目白駅から西へ少し歩き、左側に入った住宅地の入り口のような場所で、住所は新宿区下落合になる。
コースは四〇〇〇円から七〇〇〇円までの4種類。今回は五〇〇〇円の月コースを注文。まずはサラダ、先付け(この日はひんやりした心太)のあと、最初に出てきたのは活け海老が二本。キス、舞茸、鮎、おくらとヤングコーン、ホタテの変わり揚げ、蒟蒻(田楽風の味噌をのせて)、ナス、穴子と続き、最後はご飯。ご飯はかき揚げご飯、天茶など何種類か選べるが、私は天ちらしをいただいた。いずれも色よくからりと揚がり、おいしい。日本酒は臥龍梅、豊盃などいいものが数種類ある。
客は、目白の高級住宅地の住人らしいご夫婦や家族連れなど。リーズナブルに美味しい天ぷらをいただくことのできる、使い勝手のいい店だと思う。天ぷらは季節ものが多いから、春夏秋冬一度ずつくらいいってみようという気になった。ランチもやっている。(2019.7.13)
新宿区下落合3-2-16 11:30~13:30、17:00~21:30 17:30~21:30(土曜) 日休
池袋「日本酒原価酒蔵 池袋店」
前から気になっていたこの店、ふと思い立って訪れてみた。
たしかに日本酒の種類は多く、安い。注文すると100ミリリットルの小瓶に詰め替えたものを持ってくるのだが、その値段が、「醸し人九平次・純米大吟醸」三三三円、「澤屋まつもと・純米吟醸」二九八円、「陸奥八仙・純米大吟醸」三一六円、南部美人・純米吟醸」三〇四円、といった具合。移し替えて密閉しているから、品質はまったく問題ない。常時ほぼ満席なのも、納得がいく。問題は、料理。刺身の盛り合わせ(九九九円)を注文したが、薄っぺらく、少々干からびたものが三種類二枚ずつと、イクラおろしがほんの少し。美味しくない。酒はたしかに原価かも知れないが、料理で利益を稼ぐというビジネス。両者のバランスが、あまりにも悪い。
酒も料理も適正価格で、という店のほうが、いいに決まっている。しかし店名に「原価」と謳うことで客は集まるのだろう。食事はほかの店で軽く済ませ、失敗のない酒のあてだけ注文して、酒を次々におかわりする、という使い方なら、いい店かもしれない。(2019.7.5)
豊島区南池袋1-19-4 B1F 月〜金15:00~23:30 土・日・祝14:00〜23:30 無休
板橋「クランクビール さかみちタップルーム 」
板橋区のはずれに、クラフトビールの店があるらしいと知り、行ってみることにした。いちばん近いのは都営三田線の板橋区役所前で、徒歩7分ほど。立ち飲みスタイルで、6-7人が並べるカウンターと、ドラム缶を塗装したようなテーブルが2つ。
タップが6つあり、IPA、ポーター、セゾンなど6種類のケグがつながっている。パイントが900円から1200円、ハーフは500円から700円。カウンターの向こう側に醸造室があり、ステンレスタンクが並んでいる。狭いスペースをうまく使っているようだ。
ビールの味は、十分合格点。マイクロブルワリー用の設備が進歩しているのか、最近のクラフトビールは、どこへ行ってもがっかりするようなことがない。
客は地元の人ばかりのようで、町内の祭りやイベントの話で盛り上がっている。プラカップでビールを持ち帰る人も。沿線の人は、ぜひ足を伸ばしてみよう。(2019.6.2)
板橋区板橋3-40-16 17:00~23:00(水~金)、15:00~23:00(土)、15:00~23:00(日) 月・火休
高知「葉牡丹」
「ひろめ市場」を出ると、だんだん雨が強くなってきた。急ぎ足で向かったのは、この店。創業六〇年の老舗とのことで、あちこちで紹介されているが、私は今回が初めて。まだ昼の一時過ぎだったので、表にはランチの看板が出ている。しかし、安い。焼肉定食やフライ定食が五四四円、牛丼やカツ丼のセットが六四八円だ。
木造の二階建て一軒家で、みるからに老舗の雰囲気が漂う外観だが、入ってみればいたって気さくな大衆酒場だ。メニューが多くて、安い。日本酒は一合が二〇〇円から。酔鯨の純米吟醸はグラスで四四〇円。せっかく高知に来たのだから、この店では高い部類に入るかつおとウツボのたたきセットを注文したが、それでも一〇八〇円。
飲んでいるうちに、ANAからメールが来た。なんと、予定の便が欠航とのこと。何度か電話でやりとりして、三時間ほど遅い便に乗れることになり、これ幸いと飲み続ける。店を出たのは、もう四時近くになってからだった。(2019.5.19)
高知市堺町2-21 11:00~23:00 無休
平和台「やきとんひなた 平和台店」
「やきとんひなた」の新しい店が開店したので、視察に行く。場所は、メトロ有楽町線の平和台駅の近く。早くも人気店になっているようで、開店前に行列ができている。
手作り感のある、素朴な店内だが、けっこう広い。メニューには特徴があり、魚の刺身は置かず、日本酒の種類を増やしている。レギュラーのメニューに「蒼空」「賀茂錦荷札酒」があるのは珍しい。日替わりメニューにも、「鳳凰美田」「満寿泉」「田酒」など。
モツ焼きの味は、さすがに安定している。大通りに面しているから、場所はすぐに分かる。近所の人には、うれしい店だろう。(2019.5.3)
練馬区早宮2丁目16−37 17:00~24:00(土日16:00~) 月休
高田馬場「高田馬場ビール工房」
二〇一〇年に高円寺で創業し、いまや七店舗を構えるビール工房。会議の帰り、その高田馬場店へ行ってきた。六〇分飲み放題が一五〇〇円だとのこと。長居するつもりはないので、ちょうどいい。これにしよう。
ビールは六種類で、ブロンド、IPA、ラガーが各一種類と、ウィートが三種類。どれも個性があり、しかも個性が強すぎないところが万人向け。料理は肉料理を中心に十数種類あるが、量少なめでコストパフォーマンスはあまりよくない。牛すじ煮込みは、自家製ビールで煮込んだとのことだが、野菜と油揚げで増量されていて、五八〇円など。あくまでも、ビールを楽しむ店だろう。
六種類をすべて制覇し、さらに気に入ったラガーをもう一杯いただいて、ちょうど六〇分。こちらに用があったときは、また来てみよう。(2019.4.27)
新宿区高田馬場1-29-2 11:30~23:30 日祝11:00~22:30 無休