橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

高知「葉牡丹」

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 「ひろめ市場」を出ると、だんだん雨が強くなってきた。急ぎ足で向かったのは、この店。創業六〇年の老舗とのことで、あちこちで紹介されているが、私は今回が初めて。まだ昼の一時過ぎだったので、表にはランチの看板が出ている。しかし、安い。焼肉定食やフライ定食が五四四円、牛丼やカツ丼のセットが六四八円だ。
 木造の二階建て一軒家で、みるからに老舗の雰囲気が漂う外観だが、入ってみればいたって気さくな大衆酒場だ。メニューが多くて、安い。日本酒は一合が二〇〇円から。酔鯨純米吟醸はグラスで四四〇円。せっかく高知に来たのだから、この店では高い部類に入るかつおウツボのたたきセットを注文したが、それでも一〇八〇円。
 飲んでいるうちに、ANAからメールが来た。なんと、予定の便が欠航とのこと。何度か電話でやりとりして、三時間ほど遅い便に乗れることになり、これ幸いと飲み続ける。店を出たのは、もう四時近くになってからだった。(2019.5.19)

高知市堺町2-21
11:00~23:00 無休