橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「ぐっさん」

classingkenji2007-06-24

西武池袋線練馬駅周辺は、区役所や文化会館などの施設が集中し、飲食店も多い。練馬区では唯一、繁華街的な景観の場所である。この店は、練馬では「金ちゃん」と並ぶやきとんの老舗で、練馬区役所職員のたまり場。「金ちゃん」ほど広くはないが、混み具合が適度なので、わりと入りやすい。ホッピーが三六〇円、サッポロ黒ラベル大瓶が四八〇円。やきとんはシロ、レバー、タン、ハツ、カシラ、ナンコツ、コブクロと普通の品揃えで、大きめの串が二本三六〇円。鍋仕立ての煮込みがおいしい。値段からいっても、また大衆酒場的雰囲気でも「金ちゃん」との比較ではやや分が悪いが、そのせいか客はスーツにネクタイ姿の比率が高い。まあ、地元民向けの店といっていい。一〇時三〇分閉店と、やや早めに閉まるので、ここ一軒にしておけば飲み過ぎないというメリットも。