橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「銀座ライオン 銀座七丁目店」

classingkenji2008-05-16

ひと月ぶりに行ってみたら、ビールが値上げされていた。前は小グラス五八〇円、中ジョッキ七九〇円、大ジョッキ九九〇円だったが、それぞれ六三〇円、八四〇円、一〇五〇円に。特に小グラスの値上げ率が八・六%と高い。いつも小グラスばかり飲んでいるから、なおさら高く感じる。市販のビールの値上げ幅は三−五%とされているから、便乗値上げといわれても仕方があるまい。そのせいかどうかわからないが、夜七時半という時間帯にしては、空席が目立った。週刊朝日編『戦後値段史年表』によると、大ジョッキの値段は、一九四六年が一二円五〇銭、一九六四年が二五〇円、私が初めてこの店に入った一九八二年は七九〇円。ただし、ここまでは一リットル。後に九〇〇ミリリットル、次いで八〇〇ミリリットルと量が減らされ、一九九五年には八九〇円となった。ついに四ケタ突入で、ビヤホールの値段ではないなと感じるのは、私だけではあるまい。(2008.4.27)

戦後値段史年表 (朝日文庫)

戦後値段史年表 (朝日文庫)