橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2020年の立春朝搾り

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 原稿に追われていて、ずいぶん更新していなかった。新年のご挨拶もせずにいて、申し訳ありません。といいつつ、だいぶ前の話題である。
 六軒の酒販店と二軒のネットショップで買い集めた、今年の立春朝搾り。左から、千代の亀、鳴門鯛、司牡丹、梅錦、五橋、天覧山、開華、仙禽、賀茂泉、甲子、白馬錦、多満自慢。特に印象に残ったのは、安定感抜群の梅錦、目の覚めるような香りの五橋、先駆者らしい貫禄の開華。
 ワンパターンでアピール力のないラベル、元号を使う国際センスのなさは相変わらずだが、少し値段を上げたとはいえコストパフォーマンスが高いところもあいかわらず。ボージョレーヌーボーと違って、事前に瓶詰めしておくわけにもいかないから輸出は難しいかもしれないが、海外に空輸して三日遅れくらいで提供することはできないか。ラベルのデザインさえ変えれば、その価値のある酒だと思う。(2020.3.17)