橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

今年の立春朝搾り

 

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 毎年楽しみにしている「立春朝搾り」。今年はこの七種類。左から、梅錦、千代の亀、酒呑童子紀伊国屋文左衛門、旭日、月の桂、開華。まだ開華しか飲んでいないが、華やかな香りとフレッシュな米の味。すばらしい。酒販店で開華の仕込み水をもらったので、一緒に飲んでみると、まったく同じ味がする。酒の味は水で決まるというのが、よくわかる。

しかし、不満が一つだけ。ラベルのデザインをなんとかしてほしい。まるで神社のお札で、こんなものを眺めていても、酒はうまくならないし、そもそも消費者へのアピール力がなさ過ぎる。まるで、知っている人しか買わなくていいといってるみたいだ。春への期待、あこがれを表現した、もっと華やいだ雰囲気と、蔵の個性が欲しい。日本酒は近年、味もラベルも多様化が進んでいるのに、こんな素晴らしい商品が進化しないのは惜しい。平成が終わるのを機に、一新してほしいものである。