橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

神戸「地酒バル 飲山」

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 この日は、学会で神戸へ。三宮駅近くのホテルを取り、近所で飲もうと出かける。日本酒が飲みたかったのだが、店頭のメニューや看板をみるかぎり、十四代、獺祭、飛露喜など、東京でいくらでも飲める超有名酒を前面に出した店ばかりだ。兵庫の酒を飲ませる店はないのかと、探し回って見つけたのが、この店。店名は「いんざん」と読むらしい。カウンター八席だけの小さな店だ。

龍力桜正宗、竹泉、来楽、香住鶴、八重垣、空蔵など、日本酒メニューには十六種類。有名なものも知らないものもあるが、すべて兵庫の酒だとのことで、六五〇円均一。その他、季節の酒も数種類。料理は、鶏肉の料理が数種類と、ナスの煮浸し、ごま和え、しらすおろしなどの手頃な酒肴が二十種類ほど。兵庫の酒を手軽に飲むにはいい店である。(2018.9.14)