橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

エクルヴィスの造り

classingkenji2008-09-04

マンガ「美味しんぼ」は、近年ではすっかりマンネリ化してしまっているとはいうものの、料理に関心を持ち始めた院生時代は、いろいろ学ばせてもらった。その頃に出てきて、はじめて知った食材のひとつにエクルヴィス、つまりザリガニがある。日本では滅多にお目にかからないが、パリではスーパーや魚屋で普通に売っている。生きたままのもの、茹でてむき身にしたもの、ドレッシングで和えてサラダにしたものなど。茹でたものを買ってきて、日本から持参した山葵醤油で食べてみた。大きさは、小さめの甘エビ程度だが、色は鮮やかで、繊維はやや荒くわずかに歯ごたえがある。味は濃厚で、エビというよりカニに近い。山葵醤油に十分対抗できる力があり、この食べ方は正解だった。