橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

池袋「ふくろ」の「稚鮎の串カツ」

classingkenji2010-07-09

今年は、どういう訳かスーパーで稚鮎を見かけることが多かった。好物なので、ずいぶん食べた。いちばん美味しいのは天ぷらで、これは「美味しんぼ」にも登場した。しかし技術がいるうえ、何しろ使う油の量が多く、あまり揚げ物をしない我が家としては非経済的だ。そこで、軽く小麦粉で衣をつけた唐揚げにして、塩を振っていただいた。唐揚げなら、油は鍋の底から一センチで十分。ビールの肴には最高である。次に作ったのは甘露煮で、酒、味醂、醤油、砂糖で煮込み、汁が少なくなってとろみが出たあたりで火を止め、山椒の若葉を細かく切ったものを絡めて山椒煮にした。山椒を煮込まないのがポイントで、葉の緑色を生かした料理法である。
と思ったら、池袋の「ふくろ」で、見事な料理に出合った。見た目が美しく、塩を振っても、ウスターソースをかけても美味しい。これも大量の油あってこその料理だが、シーズンなら安く出せるはず。この店では、三本わずか三〇〇円だった。(2010.6.18)

豊島区池袋1-14-2
7:00〜24:00 日祝休