橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

ザルツブルク「ムンデンハーマーブロイ」

classingkenji2010-09-24

この日、音楽祭は午前一一時からのマチネーだけ。どうも天気が悪い。一日中雨模様で肌寒く、朝の最低気温は一〇度。というわけで、少し買物した後はしばらくホテルでごろごろし、夕方からレストランへ出かける。続けてコンサートを聴いていたので、夜ゆっくり食事できる日は少なかった。
このレストランは、スティーグルブロイと同じくライナー通りに面していて、間口が狭く、中が広い造り。一見したところは入りにくいが、表にメニューがあるので安心。昼間通りかかった時、店の人が店頭でキノコ(ジロール茸)の下拵えをしていたので、夜はここに来ようと思っていた。
ビールはトゥルーマーという銘柄がメインで、樽生のものがメルツェン、ピルス、ヴァイツェンと三種類ある。値段は〇・三リットルでそれぞれ、二・六ユーロ、二・八ユーロ、二・八ユーロ。本日解禁という秋の限定ビール・ペルプスト・ビアがあるというので注文してみたら、琥珀色でとろりと穀物の旨みがあり、たいへんおいしかった。ワインは、地元産のグリューナー・ベルトリーナー、ツヴァイゲルトを中心に赤白それぞれ数種類あり、ボトル四分の一で三・九から四・五ユーロ。スピリッツの種類が多く、洋梨アプリコット、ベリーなどを使った地元のシュナップスも四種類。
茸のクリームソースとシュニッツェルをいただいた。高級レストランに入っていないので比較できないが、ザルツブルクにあるこのクラスのレストランではいちばん美味しいかも知れない。草花を飾った樽を天井からつり下げるなど、オーストリアの田舎をイメージした内装も感じがいい。地元の中高年主婦のグループがいて、ビールやらシュナップスやらいろいろ注文して盛り上がっていた。

Rainerstrasse 2, Salzburg