橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

浜田山「かのう」

吉祥寺からの帰り、井の頭線で浜田山駅に停車したとき、線路際に商店街らしい小さな木造家屋が線路に背を向けて建ち並び、そのひとつに「大衆酒蔵 かのう 当所」と書かれた看板があるのがみえた。裏側からみても、何とも心ひかれる雰囲気である。思わず飛び…

吉祥寺・ハモニカ横丁のジンジャーハイボール

久しぶりにハモニカ横丁へ行ってみると、「ジンジャーハイボール」と書かれた黄色い提灯がたくさん下がっている。横丁の名物にしようと開発された新商品ということらしい。そこで「てっちゃん」に入り、注文してみる。値段は五〇〇円と、少々高めの設定。派…

吉祥寺「いせや総本店」

吉祥寺の顔ともいうべき存在だった、木造二階建てのいせや総本店が取り壊されて、もう二年半。当時の雰囲気を残しながらビルに建て替えられ、昨年夏には完成したと聞いていたが、これまで機会がなく、今日になって初めて訪れた。建物は、写真の通り。高層ビ…

三軒茶屋「戎参」 ホッピー価格の謎

この記事には、事実誤認がありました。この店のホッピー・ビールの値段は、再値下げはされていません。経緯については、こちらをご覧ください。この店の生ホッピーが大幅に値上げされていたことについては、昨年の一〇月に書いたとおり。たしかに、四二〇円…

三軒茶屋「とん起」

昨年からかかりきりになっていた原稿が、ようやく完成した。これから版組にかかるが、出版は少し先で、秋口になる予定。300枚以上の原稿を書き上げたあとだから、しばらく仕事をする気がしない。そこで仕事とあまり関係のない本を読みながら、WBCの日本−…

中野「ウロコ本店」

今日は、退職する先生の送別会で、大学近くの梅きちへ。退職する一人のTさんは、元テレビ局のカメラマンで、退職後は映画館をつくりたいという。九時ごろ終わったのだが、その話の続きを聞きに、二人で二次会。場所は、Tさんの自宅に近い中野で、前から気…

渡淳二監修・サッポロビール価値創造フロンティア研究所編「ビールの科学」

長い名前の研究所は、サッポロビールの商品開発を行なう研究所で、監修者は、その前所長。サッポロビールは業績が低迷して、サントリーにも抜かれてシェア四位のありさまだが、技術力には定評がある。ビールの歴史、種類、製造工程などについて解説した本は…

桜上水「あおい」の刺身三点盛

三日連続で、桜上水へ。こんなに近場へ連続していくというのは、原稿が大詰めに入っている証拠である。一昨日入った「あおい」へ行き、前回は注文できなかった刺身の三点盛(八八〇円)を注文する。内容は、バイ貝、カンパチ、そして季節もののホタルイカ。鮮…

桜上水「福ちゃんで・ワッショイ」

連日の桜上水。今日も原稿をリュックに入れ、自転車で向かう。荒玉水道道路に面して、「豊年満作」「まるかみ水産」と大書された看板がみえる。例のティーケーエスグループの「まるかみ水産」の本社ビルらしいが、その一階に、この変わった名前の店がある。…

桜上水「あおい」

家で原稿を書いているとき、すでに書く予定だったこと、朝までに考えついたことを中心に書き進むのだが、こうした手持ちの材料を使いつくすと、進みが悪くなる。材料が手元に残っていても、書きやすい材料を使ってしまうと、残りの使い方、配列などが決まら…

「大黒堂」

もう一軒行きたかったので、「南国ファミリー」はそこそこ切り上げて、外へ。どこへ行こうかと思ったが、以前から気になっていた「和牛ホルモン一頭買い」の看板にひかれ、この店へ。焼肉チェーン「牛兵衛」系列のホルモン料理店とのことで、看板料理はもつ…

50万アクセス御礼

今日の午前〇時過ぎ、五〇万アクセスに到達しました。たくさんのアクセス、ありがとうございます。 最近、多忙のため、更新に少々苦労していますが、今後ともよろしくお願いいたします。

「南国ファミリー」

池袋西口の北側には、飲食店の並ぶ通りが縦横に何本もある。なかでも細い通りになると、池袋に二〇年通っている私でも、入ったことのない店が多い。この店もそのひとつで、今日が初めて。「南国本店」と「南国ファミリー」が並んでいるが、今日入ってみたの…

「古典酒場」最新刊

居酒屋ムック「古典酒場」の第六号が出た。表紙のデザインが変わったので、書店で探すときはご注意。今回のテーマは「山手線酒場」で、大崎、五反田、駒込、田端など、ふだん行かないような駅の近くの居酒屋がいろいろ紹介されている。必見は特集冒頭の「一…

東駒形「とん平」

「稲垣」のそばに、赤ちょうちんの並ぶ何とも風情のある店がある。看板には「もつ焼 とん平」の文字。暖簾をくぐってみると、正面にL字型のカウンター。左側は座敷で、四人テーブルが八つほど。いい感じに古びた落ち着いた店内である。 二本三〇〇円の串焼…

東駒形「稲垣」

神谷バーを出て吾妻橋を渡り、東駒形へ。都営浅草線本所吾妻橋の駅の少し手前で右に曲がると、この店がある。吾妻橋から徒歩五分ほどである。古くからやっている店のようで、地元客が多く、繁盛して増設しているうちに、戸建ての店がいくつかより集まった形…

浅草「神谷バー」

赤羽を出て、浅草へ。実は、今日の最大の目的は、この店へ行くことだった。気分転換というなら、まだ日が明るいうちのこの店ほど適した場所はない。日本の居酒屋を愛したサイデンステッカーは、こんなことを書いている。 日本のいわゆる知識階級の生活が、正…

「まるます家」と一番街商店街

仕事に、一区切りがついた。今週に入ってから、エッセイを一本、論文を一本、そしていま書いている本の章をひとつ書き終えた。快調なペースともいえるが、なにしろ全体が一ヶ月ほど遅れている。それでも気分転換は必要だ。それに明日は雨だというし。という…

「スタンドバーcuvee」神田店

先日の神田の続きである。もうだいぶ酔っぱらっているのだが、気になる店を見つけて、ちょっとだけ……と店内へ。写真のように、和風大衆酒場風の字体で「立ち飲み処」とあるが、その上とメインの看板にはカクテルグラスをあしらったマークに「cuvee」の文字。…

千歳船橋「さざ家」

出来かけ原稿の束を持って、千歳船橋へ。とりあえずは「なぎ屋」でホッピー片手に原稿チェックをするが、ひと通り見終えたところで、あらかじめ目をつけておいたこの店へ。いままで気づかなかった横丁に、こんな居酒屋を見つけることができるのだから、この…

「ガラムマサラ」

今日はカレーマニアの知人が、この店へ行きたいというので、現地で待ち合わせ。経堂西通りにあるインド料理の名店である。インド人店主のハサンさんは、なかなか研究熱心で、ときどき新しいメニューが出現し、以前からあった料理も、プレゼンテーションの仕…

梅ヶ丘「みうら」

梅ヶ丘は、小田急線で下北沢の二駅先。名前の通り、駅から北側の丘に羽根木公園があって、ここは梅の名所である。飲食店では、最近は都内各所に進出している「寿司の美登利」総本店 が有名だが、いつも店先に行列ができていて、ゆっくり飲めそうにないので、…