橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

桜上水「福ちゃんで・ワッショイ」

classingkenji2009-03-18

連日の桜上水。今日も原稿をリュックに入れ、自転車で向かう。荒玉水道道路に面して、「豊年満作」「まるかみ水産」と大書された看板がみえる。例のティーケーエスグループの「まるかみ水産」の本社ビルらしいが、その一階に、この変わった名前の店がある。店先にもテーブルがあり、その間を抜けて中に入ると、右側にカウンター、奥にはテーブル席がいくつか。すでにグループ客が何組か入っている。
看板料理は、関西風の串揚げで、値段は、うずら、玉ねぎ、ハムなど一〇〇円、アスパラ、えび、豚ロースなどは一五〇円の二段階。二度づけ禁止のソースがあるが、関西のものと違って少々どろりとしている。串揚げ自体も、かなりのボリューム。まるかみ水産の店だけに、刺身があり、三種盛り合わせが五〇〇円と安い。注文してみると、内容は中とろ、イカ、タコ。中とろは、おそらく腹側のスジのある部分だが、十分美味しく、イカ、タコは鮮度がいい。この内容で五〇〇円は、たいへんお得。飲み物は、生ビールとホッピーが四五〇円(ホッピーの中二〇〇円、外三〇〇円)、ウイスキーハイボールが三五〇円、サワー類三五〇円、生搾りサワー四〇〇円、日本酒のワンカップ三五〇円など。ご飯ものが充実していて、まぐろづけ丼、鮭親子丼が七八〇円、ぶっかけ玉子飯が二五〇円など。飲んでいると、どんどん客が入っている。このあたりでは、いちばん繁盛している店のようだ。店員も元気で、良く動く。成長著しいチェーン店、という雰囲気が伝わってくる。(2009.3.16)

世田谷区桜上水4-18-14