橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「南国ファミリー」

classingkenji2009-03-13

池袋西口の北側には、飲食店の並ぶ通りが縦横に何本もある。なかでも細い通りになると、池袋に二〇年通っている私でも、入ったことのない店が多い。この店もそのひとつで、今日が初めて。「南国本店」と「南国ファミリー」が並んでいるが、今日入ってみたのは「ファミリー」の方。
店内は明るく、右側に白木カウンター、左にテーブル席がある。大衆的な店作りながら、割烹的でもある。魚料理の種類が多く、しかも、串焼き(一三〇円より)が鳥、豚、野菜、鰻など四〇種類ばかりある。魚にはちょっと珍しいものもあり、この日食べたニシンの刺身は、新鮮で臭みもなく、北海道で食べたときのような味だった。魚料理は、六〇〇円から一〇〇〇円程度で、ごく普通の値段。刺身は、桶にかき氷を詰めた上に盛ってきてくれる。ビールは大瓶五八〇円、生も同じく五八〇円。焼酎もいろいろ揃っていて、ちょっと見たことのないそば焼酎なども。メニュー豊富で何でもあるというのは、見方を変えれば無個性だが、池袋によく来る人にとっては、何を食べたいときにも対応できる便利な店。したがって、常連らしい人が多い。といっても、初めてでも入りやすい雰囲気なので、池袋でどこへ行こうか迷ったときの選択肢として、頭に入れておくといいかも。(2009.3.7)

豊島区西池袋1-23-1
17:00〜4:00 不定