橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

ノドグロの刺身

classingkenji2014-01-08

年末、しばらく石川県へ帰郷していた。市場へ行くと、美味しそうなノドグロ(正式な種名としてはアカムツ)がある。価格は大きさと鮮度によって、一〇〇グラム五〇〇円から八〇〇円。いまや、タイやヒラメをしのぐ高級魚だ。店の人に刺身になるかと尋ねたところ、八〇〇円のなら大丈夫だとのこと。商売上手かなとも思ったが、たしかに安いものとは美しさが違う。六〇〇グラム弱あったので、かなり高い買物になったが、三枚にしてもらって持ち帰る。
片身は皮を引き、もう片身は皮目を焼いて刺身にした。ご覧の通りの量で、六人で十分楽しめた。ノドグロの刺身は「白身のトロ」と呼ばれることもあるそうで、たしかにここまで全身に脂をのせた近海魚も珍しい。そして、実に美味しい。焼いたり煮たりするとあっという間に食べ終わってしまうから、食べ方としてはこれがいちばんだと思う。