橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

海外

キニーネ入りのトニックウォーター

私の愛読する酒マンガ、「BARレモンハート」の第19巻に、「なつかしのジントニック」と題するストーリーがある。ある日、レモンハートを一人の老人が訪れ、「うまいジン・トニックをもらおうか」という。マスターがいつもどおりに作ったジントニックを出すと…

サウスハンプトン大学の学生パブ

家の近所に、サウスハンプトン大学がある。英国の国立大学(国の直轄ではないが、財政的に国によって支えられている)のひとつで、けっこう知名度があり、評価も高いらしい。日本なら、主要な地方国立大学のひとつといったところか。歩いて20分ほどなので、散…

ダブリン「ザ・ブレイズン・ヘッド」

ダブリン市街の中心部からやや西寄り、クライスト・チャーチとリフィー川の間あたりにあるのが、このパブ。看板に"Ireland's Oldests Pub"とあるとおり、創業はなんと1198年とのこと。日本では鎌倉時代の初期、源頼朝が亡くなる前年にあたる。現在の店ができ…

ダブリン「ジャック・ニーロン」

この日の最後に訪れたのは、街を歩いていて見つけたこのパブ。写真だとまだ明るい時間のようにみえるが、実はもう夜の九時半。アイルランドは英国に輪をかけて日が長く、十時を過ぎてもまだ薄明るいのである。この店は、ダブリン市民が集まるパブのようで、…

ダブリン「チェコ・イン」

アイルランドは、ヨーロッパ諸国でもっとも貧困率の高い国である。OECDのレポートによると貧困率は15.4%で、先進国の中では米国に次いで高く、OECD諸国全体でもメキシコ、米国、トルコに次いで4番目である。ちなみに5番目に高いのは日本で、15.3%。新聞等…

ダブリン「ギネス・ストアハウス」

ダブリン市中心部の西側に、ギネスビールのセント・ジェームズ・ゲート醸造所がある。ここに併設されているのが、このギネス・ストアハウス。ギネスビールは、世界最大のスタウト・メーカー、というよりエール・メーカーである。何種類かのギネス・スタウト…

ダブリンにて

2泊3日の予定で、アイルランドの首都・ダブリンに行ってきた。ダブリンは、サウスハンプトンの空港から80人乗りの小さなプロペラ機で1時間ほど。5時過ぎに家を出て、8時過ぎには着いてしまった。空港から市内へ向かうバスの車窓から、「YES」「NO」と書かれ…

英国の酒税体系

英国内ならウイスキーが安く買えるはず、と思っていたが、ぜんぜん安くない。写真は、waitroseという高級スーパーチェーンの酒売り場。わかりにくいと思うが、ラフロイグ10年は通常価格26ポンド(約5400円)が、安売りで20ポンド(約4200円)。安売り価格が日本…

サウスハンプトン RICHMOND INN

家からいちばん近いパブがここ、リッチモンド・インである。近いというだけではなく、いろんな意味で英国らしいパブで、これから何度も通うことになりそうだ。まず、入り口が二つあり、左側のドアにはBAR、右側のドアにはLOUNGEと記されている。これが話とし…

サウスハンプトンの我が家

サウスハンプトンの中央駅からバスで四つ目、徒歩でも四〇分くらいの場所に、一ヶ月だけ家を借りることにした。二階建てで、一階にはサンルーム付きのダイニングとリビングルーム、二階にはベッドルームが四つ。これで、一ヶ月の家賃が一一〇〇ポンド(約二三…

英国より

約三ヶ月の予定でヨーロッパで生活します。まずは、ロンドンから南西に少し行ったところの港町、サウスハンプトンに滞在。ようやく生活が落ち着いてきたところです。まずは、パブのエールでもいかがでしょう。パイントグラスで、2.8ポンドですから、600円く…

ソウルで飲む

韓国社会政策学会の国際シンポジウムに出席するため、ソウルへ行ってきた。初めての訪問である。 一一月二二日に羽田を発ち、その日は梨泰院のホテルに泊まる。ここは米国キャンプのある場所で、輸入雑貨の店が多く、通行人にも米国人らしい若者が目立つ。繁…