橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

サウスハンプトン大学の学生パブ

classingkenji2008-06-24

家の近所に、サウスハンプトン大学がある。英国の国立大学(国の直轄ではないが、財政的に国によって支えられている)のひとつで、けっこう知名度があり、評価も高いらしい。日本なら、主要な地方国立大学のひとつといったところか。歩いて20分ほどなので、散歩に行ってみた。キャンパスは広く、煉瓦造りの古い建物と、近代的な建物が混在している。売店の前の通路では、農産物の直販や古本市などをやっていて、日本の地方国立大学と雰囲気が似ている。学内にパブがあった。まさか昼からおおっぴらに飲むはずはないし、昼の間はレストランになっているのだろう……と思ったら、ほんとにパブだった。開店の11時半直後に入ったが、すでに学生たちで混み合っている。エールを注文する者、カクテルを注文する者、次々に学生たちが入ってきて、大混雑状態になった。なかには、ピッチャーでエールで注文して、二人で飲んでいる学生もいる。飲むだけの学生もいれば、サンドイッチやポテトチップスを食べながら飲む学生も。パブのエールで昼食を済ませるという、イギリス労働者(ホワイトカラーにもいるらしいが)の習慣は、見事に学生たちにも受け継がれているようだ。しかし、あんなに飲んで、午後からの授業は大丈夫なのか。エールは数種類あり、1パイントが2.1ポンド(440円)程度と安い。ひとまずは、うらやましいというべきだろうか。(2008.6.9)