橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

ダブリン「ジャック・ニーロン」

classingkenji2008-06-20

この日の最後に訪れたのは、街を歩いていて見つけたこのパブ。写真だとまだ明るい時間のようにみえるが、実はもう夜の九時半。アイルランドは英国に輪をかけて日が長く、十時を過ぎてもまだ薄明るいのである。この店は、ダブリン市民が集まるパブのようで、たいした料理はなく、数種類のビールとアイリッシュウイスキーが中心。いかにも歴史のあるパブという感じで、落ち着いた雰囲気。ここで主人に、ギネス以外のスタウトはないかと聞いたところ、ビーミッシュというのがあるというので、これを注文。ギネスはややボディが弱くスムーズさを重視した味だが、こちらは甘いボディがあり、濃厚な味わい。主人は、自分はビーミッシュの方が好きだと行っていたが、私も同感。ギネスがコスモポリタンな味なのに対して、こちらはあくまでも地酒というところだろうか。日本でもごくまれに、缶入りのものが入手できるようだ。(2008.6.15)