橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ザルツブルク「アウグスティナー・ブロイ Augustiner Brau」

こちらは修道院がそのままビアホールになってしまったという場所。表通りから行くと、目立たない入り口を入り、フレスコ画の描かれたアーチ型の廊下を抜けていくと、食べ物を売る店の並ぶ一角に出て、その先がビアホールとなる。このように趣のある建物であ…

ザルツブルク「スティーグル・ケラー Stiegl Keller」

ザルツブルクに戻り、いよいよコンサート通いも全開。しかし、昼はビヤレストラン通いである。 ザルツブルクのもっとも有名の観光スポットの1つにホーヘンザルツブルク城塞(hohensalzburg festung)がある。festungというのは、城というより要塞で、つまり軍…

チェスキー・クルムロフ「エッゲンベルク Eggenberg」

プラハからザルツブルクへ帰る途中、チェスキー・クルムロフに一泊。世界遺産の町だが、町の中心部は俗化していて、まるで軽井沢の商店街のような有様。しかし中心部から少し外れれば、そこはまさに中世の町。町のなかを流れるのはヴルタヴァ川で、国内から…

プラハ「ウ・メドヴィードクー u Medvidku」

音楽祭の合間、三日ほどチェコへ。お目当ては、もちろんビールである。この店は、観光ガイドなどにもよく載っている有名店だが、入ってみて「おや」と思った。かつて銀座にあった名店「ピルゼン」にそっくりなのである。内装、テーブル、カウンターの形、そ…

ザルツブルク「シュテルン・ブロイ Sternbrau」

ザルツブルクに着いたのは、八月一九日。ザルツブルク音楽祭の模様については別のブログを見ていただくとして、こちらは一四一五年創業という、ザルツブルクでも老舗のビアレストラン。増設に増設を重ねて、屋外ガーデンの他、二階建てに一〇室ほどのビアホ…

ウィーン「ワイングート・ラインプレヒト Weingut Reinprecht」

ウィーンの二日目は、ハイリゲンシュタットへ。ベートーベンが夏になると訪れたウィーン郊外の保養地で、「田園」や「英雄」の構想を練り、また遺書を書いたことでも知られる場所である。「田園」の第二楽章に描かれているといわれる小川にも行ってみたが、…

ウィーン「ビアホフ Bierhof」

二年ぶりでオーストリアを訪問。主目的はザルツブルク音楽祭だが、まずはウィーンに二泊して観光とビール三昧。 この店は、屋外テラスと屋内席を備えたビアレストラン。観光客もいるが、どちらかといえば地元客が多そうだ。ビールは、ウィーン産のオッタクリ…

三軒茶屋「富成喜商店」

話は少々前後する。聖心女子大学での集中講義二日目のあとに寄ったのが、この店。「赤鬼」の近くに比較的最近できた日本酒バーである。「赤鬼」ほど種類がないのは仕方がないが、石鎚、正雪、明鏡止水、醸し人九平次、伯楽星、それに季節で変わる数種類の酒…

三軒茶屋「赤鬼」

今日は拙著『階級都市』が重版になったとのことで、出版社の編集者と祝杯を挙げに行く。指定したのは、この店。名酒居酒屋の老舗だが、何となく敷居が高く、私はおそらく今回が初めて。 なるほど、品揃えは充実している。十四代がこの店の限定品をふくめ六種…

松原「うおのそら」

今日は聖心女子大での集中講義の最終日。食事は自宅から近いのに、なかなか行くことができなかったこの店に予約を入れた。魚と日本酒が美味いと、一部で評判になっている店である。 魚のメニューは日替わりで、すべてに産地が記してある。今日の魚は気仙沼産…