橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

三軒茶屋「富成喜商店」

classingkenji2012-09-09

話は少々前後する。聖心女子大学での集中講義二日目のあとに寄ったのが、この店。「赤鬼」の近くに比較的最近できた日本酒バーである。「赤鬼」ほど種類がないのは仕方がないが、石鎚、正雪、明鏡止水、醸し人九平次、伯楽星、それに季節で変わる数種類の酒などが、すべて一杯五〇〇円というのがリーズナブル。店員も日本酒の知識があり、若いのにてきぱきと働いては酒について的確な説明をする女性店員などもいて、好感が持てる。料理には日替わりメニューがあり、この日は数種類の刺身、水茄子、馬刺し(ヒレの部分の角切りで、素晴らしく美味しい)、鱧天ぷら、鱧湯引きなど。ハーフサイズでも出してくれるというのが、一人客にはうれしいサービスだ。
だいぶ飲んだので勘定はまあまあの額になったが、全体としては安めといっていい。三軒茶屋に有力な選択肢が一つ増えた。(2012.08.2)

世田谷区三軒茶屋2-9-15
18:00〜2:00(日18:00〜24:00) 無休