橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「金の蔵jr.」池袋西口公園前店

classingkenji2010-09-28

最近話題の激安チェーン居酒屋だが、実はまだ行ったことがない。ちょっと観察してこようと、出版社の編集者といっしょに行ってみた。西口公園に面した場所で、銀座ライオンと同じ建物の二階。座席は意外にスペースに余裕があり、せせこましい感じはまったくない。
全品二七〇円。ちなみにホッピーはセットが二七〇円(税込み二八四円)で、外二〇〇円、中八四円である。座席にはタッチパネル(写真)があり、これを使って注文する。パネル上のボタンを押すと画面が切り替わり、次から次へとメニューが現れるが、品数はさほど多くはない。注文すると、意外に早く品物が届く。人を呼ぶ時間が省けるというのは、かなり効率が良さそうだ。いろんなところで省力化をしている。たとえば、醤油は使い捨てのペットボトル。補充したり洗ったりする手間を省いているわけだ。味はというと、思ったほどひどくはないが、生魚関係はやめておいた方がいいだろう。
タッチパネルにはゲームや占いも仕組まれている。これで小銭をかせごうということらしい。占いは二一〇円、脳トレゲーム(川島隆太教授監修)は一人一〇五円、二〜五人二一〇円、六人以上三一五円。
居酒屋好きも社会見学として、一度くらいは行ってみてもいいかも。客層は思ったより広く、若者、OL、中年グループなどいろいろだ。(2010.9.2)