富山「桝田酒造店」
「満寿泉」で知られる酒蔵を訪問することにした。富山市街の北、神通川の河口に近い岩瀬という街にある。かつて北前船の交易で栄えた廻船問屋街である。その名が全国に知られるようになったのは、四代目社長の桝田敬次郎さんの代からで、三盃幸一杜氏とともに良質でコストパフォーマンスの高い大吟醸酒を世に送り続けてきた。
そして現社長、五代目の隆一郎さんは実に精力的である。世界中を飛び回って、日本酒の良さをアピールするとともに、造りの上では、さらにランクの高い大吟醸、一〇年以上熟成させた「古酒限定大吟」、麹の比率を極限まで上げた「全麹」、モンラッシェの樽で熟成させた「SUPECIAL」など、意欲的な試みで全国の日本酒ファンを瞠目させてきた。
吟醸酒が眠る蔵の奥には、正面に満寿泉の大吟醸、左右に世界の名醸ワイン。「満寿泉が世界のワインを従えている図です」と、隆一郎さんはさらりといってのける。越中と加賀の中間に位置するこの蔵は、両者の美質を兼ね備えた、文字通りの名酒を造り続けている。(2012.5.11)
富山県富山市東岩瀬町269番地 http://www.masuizumi.co.jp/