橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

富山「米清あら川」

classingkenji2012-06-13

次に入ったのは、富山駅に近い「米清あら川」。本店は魚料理が売り物の老舗割烹だが、こちらは同じ素材を使ってシンプルな料理を出し、酒の種類を増やした居酒屋バージョンといった店である。
バイ貝の刺身は、肝を溶いてネギと醤油で味を調えたタレでいただく。タレの味が絶品だ。ハタによく似たオイボという魚の皮酢味噌和えは、ゼラチン質がはらりと融けて旨みが広がる、まさに珍味。写真は「沖の女郎(別名ヒメジ)」という珍しい魚の南蛮漬け。いずれも日本酒には最高の肴。酒は「羽根屋」で有名になった富美菊酒造が造るオリジナルボトルの「米清 純米酒」で、オリジナルボトルのたぐいとしては水準が高い。すると近くの女性客が席を立ち、「美味しかった、何食べてもおいしかった、幸せやった」と店長に感謝しながら帰って行った。素晴らしい店だが、たいへん混雑している。(2012.5.11)

富山市新富町1-3-19吉田ビル1F
17:00〜22:30 日祝休