橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

松江「川京」

classingkenji2011-11-18

仕事で、松江へ。七月にも来たから、今年二回目だ。この日訪れたのは、この店。
内海隆一郎の作品に「鰻のたたき」という短編がある。松江へ単身赴任していた男が、東京に帰ってから病死するのだが、死の直前、「松江に、松江に」とうわごとをいって涙を流していた。娘は、男には松江に愛人がいたのではないかと疑い、母と一緒に男が常連だった店を訪れる。この店の名が「川郷」で、名物は鰻のたたき。この店の名物である。
鰻を蒸して細かく刻み、皿に盛ってから青葱の入った出汁をかけ回したものらしい。ウナギの脂の濃厚な味はそのまま、口当たりがすっきりしていて、たいへん美味しい。島根の濃醇な地酒にも、よく合う。松江の古い市街の中心部にあり、歩いていればすぐに見つかる。狭い店で観光客も常連客も多いので、予約した方がいい。(2011.11.2)

松江市末次本町65
18:00〜22:30 日休

鰻のたたき (光文社文庫)

鰻のたたき (光文社文庫)