橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

高知「大吉」

classingkenji2011-01-14

仕事を終えて土佐最後の夜は、まずこの店へ。あちこちのガイドブックにも載っている有名店なので、中身はどうかなとも思ったのだが、店先へ行ってみると、地元客らしい人々が次々に吸い込まれていく。これはいい店に違いないと入ってみて、大正解。
地元の名物はすべて置いている上に、普通の居酒屋料理もないものはないくらいに揃っている。しかも、安い。活け締め清水さばの刺身が一〇〇〇円、うつぼのたたきが九五〇円、いずれもたいへん美味しい。鰹の酒盗あえ七〇〇円は、鰹のぶつ切りに酒盗をたっぷり載せたものだが、この酒盗が素晴らしい。内臓の形がはっきり分かり、歯応えがあってフレッシュな香りと熟成味が両立している。酒は地酒と焼酎が数種類で、名物の栗焼酎も。
頑固オヤジが一人でやっているような小さな店もいいが、こんな店なら有名店でも観光客が押しかけていても、いかなければ損だろう。(2010.12.22)

高知市帯屋町1-15-13
17:00〜23:30 日祝休