橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

松山「蔵元屋」

classingkenji2010-02-15

そろそろ帰りの飛行機の時間だが、まだ試してみたい酒がある。こんな時にうってつけの場所があった。愛媛県酒造組合のアンテナショップ「蔵元屋」である。壁一面の冷蔵庫は、地酒で埋め尽くされている。県内の全銘柄を揃え、試飲は小さなグラスで一杯一〇〇円から。吟醸クラスのものでも二〇〇円、大吟醸でも三〇〇−四〇〇円である。
気になっていた銘柄をひととおり味わって、愛媛の酒に共通の美質に気がついた。やや辛口ながら酸味が少なく、品のいい甘味と旨みが口中にすっと広がる。つまり、瀬戸内の魚に合う酒だ。その余韻は、飛行機が飛び立って松山市街が遠くに消えるまで続いたのだった。(2010.1.20)

松山市一番町1丁目11-7
12:00〜21:00 月休