橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「八剣伝」豪徳寺駅前店

classingkenji2009-08-03

大手居酒屋チェーン「マルシェグループ」の主力業態だが、つい数日前、豪徳寺の駅近くに開店した。開店から四日間はドリンク半額だというので、行ってみる。六時少し前だったが、五席しかないカウンター席はすでに中高年男性客で埋まっている。そこで、四人掛けテーブル席に案内された。開店早々、空席があるのに断るというわけにはいかないからかもしれないが、ありがたい対応である。
分かってはいたのだが、ビールはスーパードライ。しかし暑い時期の樽生なら、飲めないほど不味くはない。中ジョッキ四三〇円が半額だから、文句はいうまい。サワー類は三六〇円から四二〇円で、ビールに比べるとやや割高か。メニューの中心になる串焼きは、一本一〇〇円から一五〇円で、銘柄鶏のもも焼だけは二本三八〇円。その他、肉料理、野菜料理、魚介類などなどいろいろあるが、大手チェーンにしてはメニューの種類ははやや少なめ。魚介の刺身はイカだけのようだ。
食べたのは、ねぎ身(ねぎま)、せせり、こころ、そして銘柄鶏のもも焼。ねぎ身とせせりは、焼きが不足で赤い部分が残り、グニャグニャした食感。私は大丈夫だが、気持ち悪くて食べられない人もいただろう。反対に、もも焼は焼きすぎで硬く、焦げ臭い。焼き手はもちろん経験者がやっているのだろうけれど、開店直後のせいで調子がおかしいようである。
家族連れなどで席はすぐに埋まり、店先で待つ人が増えてきた。味は分かったし、このまま四人席を占領するのも申し訳ないので、ビール二杯だけで出ることにする。この店は、フランチャイズではなく直営とのこと。近所にあれば、まあ使えないこともないだろう。(2009.7.29)

世田谷区豪徳寺1-43-7
17:00〜2:00 無休
http://www.marche.co.jp/contents/hakkenden/index.html