橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「豊田屋一号店」

classingkenji2009-07-31

豊田屋は池袋西口に三軒ある老舗だが、日曜日に営業しているのは、この一号店だけのようだ。カウンターだけの小さな店で、男が一人で切り盛りしている。昭和四〇年代の雰囲気の、男臭いもつ焼き屋だ。入ったのは五時半頃だったが、男性客が四人ほど。サッポロラガーが、よく冷えていてうまい。この季節、冷蔵庫のパワーが弱いのか、あまり冷えていないビールを出す店に出会って悔しい思いをすることが少なくない。この季節に限ってはホッピーも、三冷より少しだけ氷を入れた方がいいと思う。
この店、以前も経験したことがあるが、もつ焼きが美味しくないときがある。今日もそうで、明らかに焼きすぎて焦げ臭い。残念ながら、あまり丁寧な仕事ぶりとはいえない。評判の悪い店ではないので、いつもこういう訳ではないはずだが、入りやすさからいっても、三号店あたりの方がおすすめかもしれない。(2009.7.26)

豊島区西池袋1-24