橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「大金星 西池袋店」

classingkenji2013-12-13

小規模チェーンが次々にできるが、これは最近開店した店。ホームページによると、オーナーは脱サラでフランチャイズのオーナー店長を二回経験したあと、独自ブランドの店を開店し、苦労の末に軌道に乗せたとのこと。看板を見るとサッポロビールが連想され、たしかにサッポロビールを置いているものの、資本関係があるわけではない。そしてこの店は、のれん分けの一号店とのこと。
縄のれん、提灯、相席でも一人でも入れる長テーブル、そしてもつ焼き・もつ煮こみを基本としたメニュー。つまり、伝統的大衆酒場を模倣した店作りである。中生四八〇円、サッポロラガー大瓶六〇〇円、酎ハイ類は四八〇円中心と、価格設定は安くも高くもない。ホッピーセットは五五〇円だが、最初から二杯分の焼酎が付いてくるから割安だろう。「寫楽」「新政」など、いい地酒(一杯六〇〇−八〇〇円前後)を数種類置いている点は、ポイントが高い。一本一九〇円が中心のもつ焼きは、ちょっと高いが素材がいいのか美味かった。もつ煮込みは野菜とこんにゃくが中心で、ヘルシーかもしれないが、私の好みではない。鶏の唐揚げと焼きそばが自慢らしいが、これは食べていない。
場所が池袋の中心から外れているが、「串カツ田中」の隣だから、酒飲みには見つかりやすいだろう。(2013.12.1)

豊島区西池袋5-8-9
11:30〜14:00 17:00〜翌3:00