橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

銀座「秩父錦」

classingkenji2008-10-15

今日は、高校時代に留学生として在学していたカナダ人の女性と、その夫を迎えてのミニ同窓会。会場は、いろいろ考えて、この「秩父錦」にした。前回も書いたが、この建物は一九二四年に建てられたもので、氷と炭を商う商家の建物だったもの。一九七〇年ごろ、廃業して居酒屋になったが、手前が三和土の土間、奥が座敷という商家の作りは今も変わらない。今日は人数がいるので、前から入ってみたかった奥の座敷を予約した。
予約の場合は、(人数÷二)人前の刺盛りをとってもらうことにしているとのことで、最初に刺盛りが四人前出てきたが、これがなかなか充実。築地が近いこともあり、いい刺身を出すということは知っていたが、白身二種類、イカ、タコ、中とろと盛られ、どれも美味しい。値段は聞きそびれたが、帰りのお会計から推測すると、おそらく二〇〇〇円程度だからリーズナブルだ。名物のさつま揚げは、ふんわり丸く揚がって出てきて、ハフハフいいながら食べる。辛口だが口中に旨みの広がる「秩父錦」の冷や酒と、いい相性だ。カナダ人夫婦は、翌日帰国するとのこと。最後の夜、十分楽しんでもらえたと思う。座敷には座卓が二つあり、詰めれば一〇人以上入れるだろう。(2008.10.10)

秩父中央区銀座2-13-14 
17:00〜22:30 土日祝休