橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

名古屋「大酒場 だるま」

classingkenji2010-11-22

仕事で、名古屋へ。名古屋といえば名店「大甚」だが、これは別の日に取っておくとして、ちゃんと探索したことのない栄界隈を物色する。名古屋は居酒屋不毛地帯といわれることがないではないが、たしかに心惹かれる居酒屋は少ない。まずは行ってみたのが、ここ。一階のカウンターに座りたかったのだが、満員で二階に通された。
まずは、ビールをいただく。キリンの中生が五五〇円、ラガー大瓶が六五〇円だから、安くはない。その他の酒も、ハイボール五〇〇円、サワー三九〇円、日本酒一合四五〇円など、このご時世では安いとはいえない価格設定だ。名古屋名物のどて串は、牛すじ一八〇円、焼き豆腐一五〇円、大根一二〇円などで、これは安くてボリュームがある。とくに大根は飴色に良く味が染みていて、旨かった。やはり八丁味噌系のタレをつけた串焼きがおすすめのようで、こちらは牛の上ホルモン二八〇円、並ホルモン二二〇円、豚バラ二〇〇円など、けっこうなお値段。コース料理を見ても、飲み放題一二〇分つきが三四八〇円から、学生限定の九〇分コースが二九八〇円と、やはり高めの設定。それでも若者を中心に、満員盛況というのは、名古屋が景気がいいという証拠だろうか。
ビルの側面に巨大な看板を掲げているので、よほど大きな店かと思ったが、定員は六〇名とのこと。どて煮を食べている分には、まあまあリーズナブルに使えるだろう。(2010.11.6)

名古屋市中区錦3-18-18
16:00〜4:00(金土〜5:00 日祝〜1:00) 無休