橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

名古屋「富士子」

classingkenji2010-11-24

二軒目はどこにしようかと栄界隈を歩きまわるが、なかなか適当な店が見つからない。このあたりでどうかと、入ってみたのがこの店。周りには呼び込みの兄ちゃんたちが何人もたむろしているが、気にせずに中へ。ビール中瓶と中生が六三〇円、酎ハイ類が五〇〇円と、けっこうな値段なのは先ほどと同じ。日本酒は一合五二〇円からだが、地酒は八四〇円からと高い。焼酎はグラスで十数種類を置いていて、五〇〇円から。串焼きも二本で二五〇円からと、安くはない。しかし、ここのどて煮は素晴らしく美味しかった。色つや良く、青ネギとの色の取り合わせも美しい。これを食べただけで、入ってみた甲斐があったというもの。付け出しが生野菜の盛り合わせで、野菜の不足しがちな酒飲みにはありがたい。(2010.11.6)

名古屋市中区錦3-18-9