橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

西荻窪「晩小屋」

classingkenji2007-11-08

今日は夕方から、資料を探しに中央線沿線のミニコミ専門書店をいくつか回る。目当ての資料は、残念ながら見つからなかったので、予定通り居酒屋探索に切り替え(笑)。最後に立ち寄ったのが西荻窪の「信愛書店」だったので、その周囲を探索していると、蠱惑的な赤ちょうちんの明かりに引き寄せられる。店の名前は「晩小屋」。普通なら「番小屋」だろうけれど、晩に来る場所だから「晩小屋」か。中はいい感じに古びた飴色の世界。コの字型カウンターに、テーブルがいくつか。奥の座敷には家族連れがいるらしく、子どもの声が聞こえる。まずは、中生ビール(四八〇円)とポテトサラダを注文。ポテトサラダは、手造りの出来たてという感じで、絶品だった。やきとりは一本一〇〇円。刺身の種類が多く、黒ソイ五八〇円、スミイカ五三〇円、アジ六〇〇円、かき酢四八〇円など。酎ハイが二〇〇円と安く、各種サワー類は三〇〇円。この店のオリジナルらしい緑茶割りは、寿司屋で出てくるような粉茶を冷やしたもので焼酎を割ってあり、緑茶の香りが濃厚な逸品。これは、いい店だ。休日だけあって、地元の夫婦連れや気の合う仲間たちといった感じの客が多い。六〇代女性のお一人様もいる。ネットで検索してみると、2ちゃんねるにスレッドまで立っていた。西荻窪駅から南に出て、徒歩一分といったところだ。(2007.11.3)