橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

高円寺「素人の乱・セピア」

classingkenji2007-11-06

雨宮処凛の本を読んだ人なら、高円寺でフリーターやニートの若者たちが始めた、「素人の乱」というリサイクルショップや古着屋などの商店群のことをご存じだろう。高円寺駅の北口を出て、ガード北側の飲み屋街に入り、そのまままっすぐ行くと、だんだん店の数も人通りも減っていくが、その先あたりにある。「四文屋」の次は、その中にある飲み屋「セピア」へ行くことにした。近著『新しい階級社会 新しい階級闘争』(光文社)でも取り上げたので、挨拶がてらに見学してみたかったのである。中は喫茶店のような造りで、カウンターとテーブルが三卓。見るからに素人という若者が、カウンターの中にいる。まずは生ビール(五〇〇円)をもらう。壁には、いろいろなイベント情報が所狭しと貼ってある。正しい社会運動系飲み屋だ。時折入ってくる若者たちも、いかにもフリーター風。焼酎が何種類かあるようなので、カウンターの中の若者に聞いてみたが「自分はあんまり分からないので」と頼りない答え。適当に選んで、ロックでいただくことにする。二人でビール二杯、焼酎三杯で、二二〇〇円。本格焼酎は四〇〇円均一ということらしい。該当のページを見せて本を渡したら、若者は「すごい〜」と言って、ページに見入っていた。九時過ぎ、我々が出た時分から、賑わい始めるといった感じだった。興味のある人はどうぞ。ホームページはこちら。(2007.11.2)